マメ知識:流通BMSとは
流通BMS
BMSは、「Business Message Standard」の略で、流通BMSとは、経済産業省や日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会などの業界団体や取引先が中心となって参加した「次世代EDI標準化ワーキンググループ」の中で各社が利用していたEDIのメッセージ項目を集約、統一するなどして策定した流通に関するビジネスメッセージ標準化データ形式を指します。
30年も前に登場したJCA手順によるEDI(Electronic Data Interchange)
JCA(Japan Chain Stores Association Protocol)手順とは、日本チェーンストア協会が策定した取引先データ交換標準通信制御手順のことで、通信インフラに電話回線を使っているため、大量のデータをやり取りする現在の流通の現状にそぐわなくなってきました。また、やり取りするデータフォーマットの制限や、利用に不可欠な専用モデムなどのコストの高さがネックになっています。
JCA手順によるEDIに替わるWebEDI
JCA手順によるEDIの問題点を解消するために登場したのが、WebEDIです。通信インフラにインター ネットを採用して通信スピードが改善されたものの、手動操作によるファイル転送のため、EDI本来のデータ交換の自動化が阻害されるという問題点が新たに生じました。
流通BMSの策定
従来型のEDIやWebEDIが混在することによる混乱や、業務の非効率を招くデータ交換フォーマットの不統一などの問題を解決するため、「次世代EDI標準化ワーキンググループ」は、通信インフラに高速で安価なインター ネットを採用しつつ、従来型のJCA手順によるEDIの課題を修正した流通BMSを策定しました。
流通BMSのデータフォーマットの標準化
従来のJCA手順では、レコードと呼ばれる標準データ交換フォーマットを使っていましたが、EDIのメッセージ項目は各社がばらばらで利用していたため、流通BMSでは、各社のメッセージ項目を持ち寄り、集約して共通で使える「メッセージ種別」や「メッセージ構造」、「データ属性」などに統一、標準化されました。
また、データ表現形式もJCA手順の固定長から、柔軟に対応できるXMLが採用採用されています。 さらに、国際化を視野に入れ「共通企業識別コード(GLN)」「共通商品識別コード(GTIN」」が使われています。
国際規格の通信プロトコル
通信プロトコルも国際規格のebXML MSとEDIINT AS2を採用し、小規模向けには、同じく国際規格のSOAP-RPCをベースに日本向けに改造したJX手順を使います。
流通BMSのメリット
電話回線を使うJCA手順によるEDIと比べて、インターネットを使うため、通信コストや専用モデムなど機器維持コストを低くおさえることができます。
ブロードバンドなどによる高速なインターネットを利用するため、データ交換がスピードアップし、リードタイム短縮につながります。
データフォーマットが、統一、標準化されたことにより、フォーマット変換に関わるソフトのコストや、手間を軽減できます。