コニファ・マメ知識:平成25年版 情報通信白書から・「スマートICT」



株式会社コニファ・無料で使えるBtoB WEB受注システム・0万石 WEB受注システム(バナー用3)
無料で使えるBtoB WEB受注システム,0万石受注システム,0円,Free
無料で使えるBtoB WEB受注システム
0万石 WEB受注システム

出典:総務省・平成25年版 情報通信白書

「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか

新たなICTトレンド=「スマートICT」が生み出す日本の元気と成長

(1)ICTと経済成長 -その基本的枠組-

万能ツールとしてのICT/ICT利活用によるグローバルな社会課題解決×国際展開
ICTによる成長のもう一つの軸として特に近年クローズアップされているのが、万能ツールとしてのICTの活用である。我が国国内において、少子高齢化やエネルギー制約、地方の疲弊、財政の悪化など成長の制約要件となっている社会課題は、グローバルに共通な課題ないし今後世界各国で問題となりうる課題であり、その解決をICTを活用したイノベーションを通じて進め、その成果を運営ノウハウも含め国際展開するという道筋である。

既にICT街づくり(スマートタウン、スマートシティ)において取組が進められているが、第2章で言及するように超高齢化社会対策や生活資源対策など、我が国が抱える様々な社会課題の解決にICTを活用することを通じて取組の展開が期待されているところである。このようなグローバルな社会課題の解決をイノベーションにより進め、それを国際競争力ある製品・サービス開発に結び付けようとする考え方として、デマンドサイド・イノベーション政策があげられる。

WEF(World Economic Forum)のICT世界競争力ランキング(2013)で1位となり、イノベーション政策の議論で取り上げられることの多いフィンランドの例をみると、同国においては新技術・新製品と新サービス、新生産プロセスを生み出すことにあった伝統的なサプライサイド・イノベーション政策を従来とってきたが、その概念をさらに拡張し、新専門サービス、新ビジネスモデル、新デザインや新ブランド、さらには公共サービスの改良、組織や構造の改良がイノベーション政策に含まれるとしている。また、企業の競争力の向上だけでなく、公共部門の生産性や仕事と生活の質が経済成長と福祉に大きな影響を与えるとしている。

このような観点から、同国政府では、「デマンドドリブン・イノベーション」と「ユーザードリブン・イノベーション」に力を注いでいる。「デマンドドリブン・イノベーション」とは気候変動、高齢化などグローバルレベルの社会的課題を解決するタイプのイノベーションを指し、例えば、道路の渋滞の解消のために、排気ガスだけの規制では不十分で、イノベーションにより解決していこうという発想である。デマンドドリブン・イノベーションでは、グローバルに共通する社会的課題に対するソリューションを開発すれば、それが経済成長や国際競争力の向上に結びつくとの立場に立つ。フィンランド政府は、デマンドドリブン・イノベーション推進に向けて研究開発から始めて、公共セクターのリーダーシップ、先進的な規制、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)、公共調達、標準化、システム構築という手順について、フレームワークとして公表している。

ユーザードリブン・イノベーション」は先進ユーザーが中心となって新しい製品やサービスを生み出すイノベーションを指している。フィンランドをはじめとする北欧諸国では、政府をはじめとする公共セクターが先進的なICT利用を行うなどイノベーションを先導する役割を担っているといわれている。

なお、万能ツールとしてのICTは、このような「デマンドドリブン・イノベーション」や「ユーザードリブン・イノベーション」を進める上でも鍵となると考えられる。例えば、第2章で紹介する鉱物・エネルギー、水、食料、社会インフラといった「生活資源問題」をビッグデータ、M2M・センサーなどICTの最新トレンドで解決しようとする取組は、「デマンドドリブン・イノベーション」の典型例といえる。「ユーザードリブン・イノベーション」については、過去の日本においても、1980年代半ばまでは日本電電公社(現NTT)がイノベーション促進型の調達を行って、ICT技術開発、関連産業の国際競争力強化に貢献してきたとの指摘があり、国内の電子政府推進と電子政府システム輸出戦略を有機的に連動させている韓国の電子政府政策にも、そのような面を見いだすことができよう。

このような観点からは、公共部門におけるICTの活用をどう進めるかも、公共部門のイノベーション促進を通じた課題解決にとって重要であると同時に、ICT産業をはじめとする関連産業のイノベーションにも直結すること、グローバルに共通する社会的課題に対するICTの活用方策を開発すれば、それがICT産業、ひいては全産業の国際競争力の強化に結び付くことに留意する必要があろう。